彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
「結音、俺だよ」


そっと囁く。


少しだけ、結音のまつ毛が揺れた気がした。


「起きてくれよ……目を、覚ましてくれよ」


結音の規則正しい心音を機械が教えてくれている。


結音は生きている。


目覚めない世界で、でも確かに生き続けている。


「なぁ……結音!」


俺は結音の体に抱きついた。


布団の上からでも華奢な体がわかる。


元気だったころの結音も華奢だった。


本当に食べているのか不安になるほど、細かった。


けれど結音は俺の前でよく食べた。
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