彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
一緒に遊びに行けば夕飯に定食をペロリと平らげ、デザートも頼むような女の子だった。


美奈はそれを見て『それだけ食べて太らないなんて不公平!』と、怒っていたっけ。


思い出し、クスッと笑う。


「あの頃は楽しかったよな、結音。また、4人で遊びに行こう。バカな事言い合って、笑おう」


俺は叶わない夢を見ていた。


美奈と諒との関係も崩れ、みんなの心はバラバラに離れている。


結音が目覚めるまで親友のままでいたかった。


結音が目覚めた時、当時と同じ状態で迎えてやりたかった。


でも、それはもうできない夢だった。


俺はポケットに入れてきたカッターナイフを取り出した。


月明かりで刃先がキラリと光る。


自分の手が想像以上に震えているのがわかった。


怖いんだ。


俺は怖いんだ。
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