彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
俺はさっきまで座っていたベンチに腰を下ろした。


「ほら、座れよ」


そう言うが、薫子は首を左右に振った。


「レンガが……レンガがあるの……」


「は?」


俺は薫子の言葉に眉を寄せ、そしてミサという子が殺された時の記事を思い出した。


確かあの女の子はレンガで殴られて殺されたんじゃなかったか?


「可愛い顔が一瞬にして潰されて、それで……」


薫子はグルグルと歩きまわりながら呟く。


「おい、どうしたんだよ。なんで事件の事を知っているんだ?」


俺は立ち上がり、薫子に声をかける。


なにかがおかしい。


薫子の記憶は結音と同じハズだ。


ここで殺人事件が起きた事は結音は知らない。


だって、その事件が起きたのは結音の意識がなくなった後なんだから。
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