彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
「あ……!」


途端に薫子が立ち止まり、空を仰ぐ。


「実紗……!!!」


一瞬そう叫び、そして静かになった。


俺は唖然として薫子を見つめる。


一体なにが起きているのかわからない。


「なぁ、薫子。なんで事件の事を知っているんだ?」


そう聞くと、薫子はゆっくりと顔をこちらへ向けた。


その表情はひどく穏やかに見えた。


「なんのこと?」


小首をかしげる薫子。


「お前、自分で今言ってたじゃないか。レンガで可愛い顔が潰されてって」


「なに言っているの燈里。あたしそんな事言わないわ」


薫子はおかしそうに笑う。


嘘をついているようにも見えない。
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