彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
「俺、今日はもう帰るよ」


重たい体を起こして俺は言った。


右肩の傷はある程度ふさがっていたが、まだ少し痛みはあった。


「あぁ。俺も帰ろうかな」


諒も立ちあがる。


美奈の死は俺たちを精神的に追い詰めるのに十分な材料だった。


家に帰れば薫子がいる。


だけど、体を休める場所は家にしかない。


「燈里」


途中で諒が名前を呼んだ。


「なに?」


「気を付けろよ」


「……あぁ」


そして俺たちは別々の道を帰り始めたのだった。
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