彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
☆☆☆

美奈が目の前で殺されてから、俺と諒は人形を破壊すること、スイッチを切ることを話しの中でしなくなっていた。


それは暗黙の了解のようなもので、所詮人間がかなう相手ではないということだった。


俺は日々の暮らしと薫子の機嫌を伺いながら過ごしている。


そうするのが、自分の命を少しでも長引かせる方法だと気づいたのだ。


最も、こんなの気づきたくもなかったが。


見慣れた坂道を登り、玄関までくる。


カギはかかっているからカギを取り出して差し込む。


いつも通りの動作を繰り返し、中へ入る。


「ただいま」


誰ともなく声をかける。


チラリと階段の方へ視線をやる。


今日は薫子が出迎えてこない。
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