彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
出迎えがないということは、それほど機嫌が良くないという事だ。


俺はため息を吐き出しながら階段をあがり、自室へと向かう。


迎えがない時はすぐに薫子の顔を見に行くことにしていた。


その時間が遅ければ遅いほど、薫子はどんどん機嫌を悪くしていく。


「薫子?」


自室のドアを開けて声をかける。


薫子はいつも通りの場所で小さくなっていた。


顔だけあげてこちらを見ている。


「ただいま、帰ったよ」


俺はそう言い、カバンを机に置く。


「おかえり、燈里」


薫子が微かに微笑む。


「元気がないみたいだな?」
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