彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
速足になればなるほど運動靴は水を吸い込み、重たくなっていく。


ジワジワと靴に入り込んだ水は靴下を濡らし、グッショリとした嫌な感覚が指先にまとわりついた。


眉間にシワを刻みながら滑り込んだ昇降口。


他の生徒たちもため息をもらしたり「あーあ」と、残念そうな声をあげている。
もちろん、雨のせいだ。


今日は教師の予定で全校生徒が午前中に帰れる日だった。


みんな早く帰れるのを楽しみにしていたのに、この天気。


ガッカリしても当然だろう。


俺は濡れて気持ちの悪い靴下を脱ぎ、素足で上履きをはいた。


濡れた靴下はそのまま下駄箱に突っ込む。


帰るときに忘れて帰らないように気をつけないと。


そう思いながら廊下を歩く。
< 38 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop