彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
「なんだ燈里、裸足かよ」


俺の足元に気が付いて諒が言う。


「あぁ。来るときにびしょぬれになったんだ」


「だからって裸足になったら足が臭くなるぞ!」


そう言い、諒は豪快に笑う。


俺もつられて笑った。


これくらいのことで友達と笑う事ができるなんて、俺は幸せだと思う。


結音が事故にあって数ヶ月間、俺は笑う事もできずに過ごしていたんだ。


諒がどれだけ面白い事を行っても、美奈がどれだけおいしいクッキーを焼いてきても、俺の心には響かなかった。


それくらい、絶望に覆われていた。


「おはよぉ!」


ガラッと教室のドアが開いて元気よく入って来たのは美奈だった。


美奈は傘を忘れて来たのか、髪の毛が濡れている。
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