彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
俺は震える手でカバンを開けた。


失敗した。


失敗は死事を意味していたのに。


計画は失敗した。


「くそっくそっくそっ!」


カバンの中から大ぶりの包丁を取り出す。


涙がとめどなく溢れてくる。


これを薫子の体中に突き刺してやる。


やつの体液をすべて排出させ、割れた風船のように動けなくしてやる。


俺は立ち上がった。


ガタガタと震える両腕で包丁を握りしめる。


涙で視界は歪んでいたけれど、諒と薫子の姿を捕らえる事はできた。


このまま反撃もせずに死ぬ気はなかった。
< 426 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop