彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
体には恐怖しか存在しなかったが、それでも薫子の思い通りにはさせない。


俺は叫びながら走りだした。


薫子と諒がこちらを見ているのがわかる。


「死ねぇぇぇ!!」


自分の胸の前あたり、両手で包丁を固定した状態で俺は薫子へ向かって突進した。


ドクッと衣服が破れる感覚。


皮膚を切る感覚。


そして肉を裂き、その奥へと包丁が入って行く感覚が手に伝わってくる。


それはまるで本物の人間のようで。


流れ出る体液も暖かく、まるで人の血液のようで。


「カハッ」


耳元で諒が咳をする音が聞こえた。


え……?


俺は咄嗟に身を離す。
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