彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
☆☆☆

自分の部屋に戻ると、薫子が笑顔で出迎えてくれた。


「お帰り、燈里っ!」


はしゃぐようにそう言い、抱きついてくる。


突然抱きつかれた俺は体のバランスを崩し、そのまま後ろへと倒れ込んでしまう。


「おい、重たいだろ」


薫子の体重を全身で受け止める格好になり、俺はそう言った。


「重たくないわよ!」


薫子は少し頬を膨らませて俺を見る。


子供のような表情に思わず笑ってしまう。


結音も似たような表情を作る時があった。


嬉しい時、怒った時。


その表情はコロコロと変化して、見ていて飽きる事がない。


「はいはい、薫子は軽いよ。俺、まだ用事があるんだ」
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