君が笑うなら
すらりと伸びた四肢は程よく筋肉がついていて、春先の今にぴったりの、品のよいYシシャツに、ジーンズというシンプルないでたちながら、彼を着飾るのはそれで十分といわんばかりの着こなしを見せていた。

「ご、ごめんなさい……」

ドキドキと胸を高鳴らせながら、ペコペコと頭を菜穂は下げた。

自分の薄汚れたワンピース姿を恥じる気持ちが先立って顔だけ押し出す形になり、バランスを大きく崩して前のめりに転んだ。
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