君が笑うなら
「……私なんかに話して、いいんですか」

初対面に近い自分になぜこんなにも話すのだろうと考えて、むしろ知らない人だから話せるのだと結論を出して、菜穂はため息を吐いた。


「前に君に夢遊病だって言ったよね」

「あ、はい」

「アレ、嘘なんだ」

「え?」

「だから、作り話。君と、小学校のころ同じ学校にいたから、そこから知ってた。ダイブ前の話だけどね」

それが事実だとしたら、なぜ見覚えがないのだろう。整形でも、したのだろうか。菜穂は軽くうなって、志和を見た。


「っていっても、通ったのは数日。しかも保健室に。僕は、目立ってはいけないから――兄さんが、目立たなきゃいけないんだ。……僕の前に、引き取られた兄さんは、体が強くなくて、20までには死んでしまうから」
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