君と描いた日常-負け組女子高生
時間が進む事が怖かった。


脳裏によみがえる彼女との思い出だけが、時間が止まったように再生されていた。


私はそれに必死にすがりついていた。


外へでれば時間が動き出してしまう。
部屋にこもっていれば、私は思い出の世界で生活できる。


新学期になっても学校に行かなかった。


思い出が最後の記憶―ノートを返しにきた悠紀の後ろ姿まで戻ると、糸が切れたように泣き出した。


ひとしきり泣いて、いつもよりひどくなった顔を鏡で見ては、何かに八つ当たりした。
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