片想い連鎖
やはり恐れていた先生の見回りだ。


一つ一つ部屋を見て回っているみたいである。


みんな帰ってきてないし、このままだと本当にまずい。



コンコンコン…



私たちの部屋にもついに魔の手がきたようだ。


部屋中に響き渡るノック音。



ど、ど、どーしよーーーー!!!



フッ



すると、いきなり真っ暗になる部屋の中。



「えっ!??」


「渡辺、とりあえずどっか布団の中に隠れろ!」



吉田くんが電気を消したようだ。



「う、うん」



とりあえずそうするのが賢明だ。


私は近くの布団に潜り込んだ。



あぁばれませんように…!!


……



……



すると、何か背後に温かみを感じた。


そっと後ろを振り返ると



「よっ吉田くっふがっ」


「バカか、お前、声がデカイ!」



私は手で口を塞がれた。


ガチャというドアを開ける音とともに数人の足音が聞こえた。


先生たちが入ってきたようだ。



「どーして人の布団に入ってくるのよ」


「うっせー、お前が後から入ってきたんだろうが」



私の耳元で吉田くんが声を荒げることもできないので抑えながら囁いた。


吉田くんと近すぎる距離。


妙な緊張感が全身を襲っていた。



「…ここの部屋の子たちはもう寝てしまったようですね」



あぁお願い!


いろんな意味で気づかれずここから出て行って。


そう思っていると


いきなり吉田君が私の前に腕を持ってきた。


そして先ほどよりも背後からさらに強い温もりを感じられた。


私………背後から抱きしめられてる!?




「ちょっとやめてよ!!」



私は大声をあげたいが先生たちがいる手前あげることもできず、小声で抵抗した。



「…………」



私の言葉に対して無言の吉田くん。


それどころかさらに抱きしめる力を強くしてきた。



……何これ。



心臓が壊れそう。






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