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「松本さん、お酒は強いんだよね?」

槇村が聞いた。

「いえ。強いってほどでは…。」

松本は、控え目な性格のようだった。

化粧もしてるかどうかの薄いもので、真理子には、好ましく思えた。

ちょうど隣にすわっている、堺の茶色い髪と派手な化粧を、不快に感じた。

「高田さん、次は何、頼みますか?
松本さんはビールで大丈夫?」

堺が聞く。
もう飲んだのか。自分が飲みたいだけだな…。
自分のビールは、まだ半分入っている。

「まだいいよ。」

「あっ。ビールはあんまり。じゃあ…、カシスオレンジを…。」

堺が、はぁい、と返事をして、店員を呼び止める。

気がきくというより、自分のついでだと思った。

堺は、真理子から見ると、実に女らしい女だった。

男が代わると、自分も変化する。

自分というものがないのだろうか?

だから、女は苦手なのだ。




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