33
すっかり遅くなって、もう地下鉄はなかった。
真理子は、地下鉄の同じ沿線上に住んでいる槇村と、タクシーに乗る。
いつもの事だ。
「松本さん、いい子そうだね。」
槇村は、すっかり出来上がっていた。
「そうだなぁ。ああいう、しっかりした子が入って良かったな。」
松本を気に入ったらしいのは、態度を見ていれば、分かった。
「酒も強いみたいだし…。」
槇村は、真理子の視線に気付かない。
これも、いつもの事だ。
槇村は、松本の事や、その彼氏の事を、ぽつりぽつりと話す。
真理子は、酔っ払った頭を回転させて、答えていた。
槇村が、頭の回転が悪い子を嫌う事を知っているから…。
真理子のマンションが近付いてくる。
「そこ、右に入って下さい。」
慣れた調子で、槇村がマンションへと導く。
「んじゃ、また来週な~。」
「ん。お疲れ~。」
真理子は、お金を置いてタクシーを降りる。
そのまま、タクシーは走り出す。
真理子は、しばらく小さくなるタクシーを見ていた。
そんな自分が、少しおかしかった。
ふっと笑って、マンションへと歩き出した。
真理子は、地下鉄の同じ沿線上に住んでいる槇村と、タクシーに乗る。
いつもの事だ。
「松本さん、いい子そうだね。」
槇村は、すっかり出来上がっていた。
「そうだなぁ。ああいう、しっかりした子が入って良かったな。」
松本を気に入ったらしいのは、態度を見ていれば、分かった。
「酒も強いみたいだし…。」
槇村は、真理子の視線に気付かない。
これも、いつもの事だ。
槇村は、松本の事や、その彼氏の事を、ぽつりぽつりと話す。
真理子は、酔っ払った頭を回転させて、答えていた。
槇村が、頭の回転が悪い子を嫌う事を知っているから…。
真理子のマンションが近付いてくる。
「そこ、右に入って下さい。」
慣れた調子で、槇村がマンションへと導く。
「んじゃ、また来週な~。」
「ん。お疲れ~。」
真理子は、お金を置いてタクシーを降りる。
そのまま、タクシーは走り出す。
真理子は、しばらく小さくなるタクシーを見ていた。
そんな自分が、少しおかしかった。
ふっと笑って、マンションへと歩き出した。