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第一章

３月３１日。

正月よりも、実際のところの一年を締めくくる日。

今日で会社を辞める人間が挨拶をする。

こっちは来年度の準備で忙しいっていうのに…。

真理子は、苦々しい気持ちで、それを見ていた。

「お世話になりました……。」

型通りの挨拶は、真理子の耳を通りすぎていった。

中には、真理子の部署の子も、含まれている。

とにかく、物覚えが悪かった。
仕事は、何をさせても遅いし、反応も遅くて、ぼーっとしている様な子だった。

そんな彼女の姿を思い出して、真理子は辞めてくれて良かった…とまで思っていた。