嫌い、大嫌い、、大好き。



「はぁぁ……」




今は6時間目。



ちょっと憂鬱です。




今日の朝、席替えして、結城の隣の席に
なって、それから今までは

話すこともなく順調だったの。




でも……




今は美術の時間。



いつもなら周りの友達と喋っていた。


教室でやる時の美術とか、基本つまんないし暇だからね。



もちろん、後ろの席の子は普通に
話せる子なんだけど…



その子がちょうど体調悪くて
早退しちゃったの。




だからつまり、只今絶賛、暇ってわけ。




あーあ、つまんないな〜




話せる人ってゆったら…




隣のこいつしかいないしなぁ。




斜め後ろの男子はその後ろの男子と
話しちゃってるし。




でもなぁ〜



あれだけ嫌がっといて、
うちから話しかけるのもなぁ〜




「おい」




はぁ〜……




やっぱり暇すぎる。




「おい、聞いてんのか?」




え?

うち?




ふとそう思い、隣をみると
結城がうちのほーを見ている。




「まじで聞こえてなかったのか。


…むしられたと思ったじゃん。」



「え?ごめん、最後のほー
聞こえなかった。」




「だから、
お前、難聴だなってゆったんだよ。」



へっ!?!?




「…あの、、、難聴ってなに?」

「は?お前んなことも知らねーの?」



結城は驚いたってのとばかだなっていう顔をしてる。



「っ!そ、そんなみんな知ってること
じゃないでしょ!!」



「いや、大抵のやつは知ってる。」



ま、まじか……



あ、じゃなくて。



「それで??」





「は?何が?」




「だから、難聴?ってなんなの?」




「まじでわかんねーのか、お前…」




「もーいーから!!なんなの?難聴って」



本日3度目の同じ質問。



そろそろ答えてくれてもいいと
思うんだけど。




「はいはい。
難聴ってのは耳が遠いってこと。」




へぇ〜


そーなんだ。


覚えとこ。




てか…


あれ?




「ちょっと待って!!
うち、耳遠くないよ?」



「え、遠いじゃん。

さっき俺が呼んでも気づかなかった
じゃん。」


あー。。。




「それは…ごめん。考え事してた。


でも、耳は遠くない!!」



「そーかそーか。


ま、大丈夫だ。みんな理解してくれる。

来年の誕プレはきっとみんな補聴器くれるから、安心しとけ。」




結城は真顔でそう言った。



「いやいやいや…

そんなこと望んでないし!!!

第一、難聴じゃないんで。
間に合ってまーす!」



「お前、本物のばかだろ。


間に合ってるっつーことは、

もう補聴器もってますってことだろ?」




結城は笑いをこらえながらそういった。




「あ。そっか。


んーー…
ま、とりあえず、間に合ってます!!」




他に言葉が思いつかなかったから、
とりあえず、間に合ってますって
もう1回ゆっといた。



結城はまだ笑ってる。




そんなにつぼったのかなぁ〜?




うちが不思議な顔してると、


「お前、その顔、ばか…いや、
まぬけっぽいぞ笑笑」




「んな!!!!」



こいつどんだけ失礼なの!!!




またなにか言い返そうと思ったんだけど
運悪く、ちょうど授業がそこで終わった。




タイミング悪いなぁ〜




まぁ、こいつは放置しとこ。




なんか、今日の美術、短かったなぁ〜


それに、ちょっと楽しかったかも。



ま、それはたぶん美術の先生じゃなくて
結城のおかげだと思うんだけどね。




だから今日はまぁ、ありがと。





口で伝えるには恥ずかしいのと、
あんなやつのありがとうなんてゆったら
からかわれるに決まってるから、


うちは心の中でそう、呟いたのでした。





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