異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
あたしが切った髪を売ったお金で、当面の食料や服代が賄えた。 ロゼッタさんにばかりお世話になる訳にもいかないもんね。
……で。
国境に近い街を出てあの男……バルドに着いてきたわけだけど。
向かったのは次の町かと思いきや、早々に道から外れて道なき道を歩き始めたんですけど!?
バルドもロゼッタさんと同じようなダチョウのような鳥に乗ってる。セリスが乗ってたエークが普及してるって話は? って疑問に思いつつ、彼の後を追ってレヤーの足を進める。
それにしても、見れば見るほど乾燥して痩せた土地が多い。国境の町は温泉で賑わいを見せていたし、まばらにだけど緑もあった。けど、今はもはや枯れた草や木しか見当たらない。
石ころや岩だらけで生命の欠片も見えないけど、どうしてバルドはこんなところを旅しているんだろう? 疑問に思いつつ何も口を挟めなくて行けば、やがて大きな崖が見えてきた。
辺りはさながらアメリカのグランドキャニオンのような崖だらけで、赤茶けた景色が広がってる。
出発してかなりの時間走り続けてきたから、今は日暮れも近い。茜色に染まりつつある中で、削れた岩の影が長く伸びる。オレンジ色に支配された中で、バルドは大きな洞穴の近くでダチョウを停めた。
「今夜は、ここで寝ろ」