異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「焚き火を作っておけ」
「あ、わ、わかった」
バルドに命じられて頷けば、彼はダチョウに餌をやってそのままどこかへ向かう。たぶん、彼は彼なりに何かをするんだろう。
(初めての仕事だ。頑張るぞ、うん)
よし、と握りこぶしを突き上げて、焚き火を作るべく薪がわりの木を探しに行くことにした。
「ナゴム、ワタシ、水サガス」
「あ、お願いします」
ロゼッタさんは鼻を突きだしてあちこちの匂いを嗅いでたから、水源でも見つけたんだろう。ダチョウにくくりつけた携帯用のバケツを手に、鼻歌を歌いながら歩いていった。
なんか、すごいな。こういう乾燥した土地だと水は貴重だから、水を見つける能力は自然に磨かれるんだろうな。
あたしもがんばらなきゃ。 役立たずと言われないように。
(えっと……たしか、焚き火にする木は中が乾燥してなきゃいけないんだよね)
木の種類によっても、焚き火に合った木や合わない木がある。異世界の樹木に知識がある訳じゃないから、日本にある木に似た木を選ぶ。
ちょっと歩けば枯れた灌木があちこちにあって、どうやら薪にする木に不自由はしなさそう。あれもこれも……と欲張って手にしているうちに、あっという間に腕一杯に集まった。