異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。


「焚き火を作っておけ」

「あ、わ、わかった」


バルドに命じられて頷けば、彼はダチョウに餌をやってそのままどこかへ向かう。たぶん、彼は彼なりに何かをするんだろう。


(初めての仕事だ。頑張るぞ、うん)


よし、と握りこぶしを突き上げて、焚き火を作るべく薪がわりの木を探しに行くことにした。


「ナゴム、ワタシ、水サガス」

「あ、お願いします」


ロゼッタさんは鼻を突きだしてあちこちの匂いを嗅いでたから、水源でも見つけたんだろう。ダチョウにくくりつけた携帯用のバケツを手に、鼻歌を歌いながら歩いていった。


なんか、すごいな。こういう乾燥した土地だと水は貴重だから、水を見つける能力は自然に磨かれるんだろうな。


あたしもがんばらなきゃ。 役立たずと言われないように。


(えっと……たしか、焚き火にする木は中が乾燥してなきゃいけないんだよね)


木の種類によっても、焚き火に合った木や合わない木がある。異世界の樹木に知識がある訳じゃないから、日本にある木に似た木を選ぶ。


ちょっと歩けば枯れた灌木があちこちにあって、どうやら薪にする木に不自由はしなさそう。あれもこれも……と欲張って手にしているうちに、あっという間に腕一杯に集まった。


< 109 / 877 >

この作品をシェア

pagetop