異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
(さてと、サンドイッチを食べようかな)
展望台のベンチに腰を下ろして、バッグからラップに包んだサンドイッチを取り出した時。
ぎゅるるる~……
盛大にお腹が鳴る音が夜空に響いたけれど。ハテ、と首をかしげた。
ん、あれれ? あたしのお腹は鳴ってないぞ。
お腹が空きすぎて幻聴でも聞こえ……るわけないか。
気のせいだとラップをぺりぺりと剥がした瞬間、再びお腹が鳴るような音が。
(やっぱり聞こえた。誰かいるの?)
フリーダムに生きる方が神社で寝泊まりしてるのかな? お腹が空いて困ってるなら、分けてあげよう。人間、困った時はお互い様だもんね。
あたしはペットボトルとサンドイッチを手に、音が聞こえた方へ歩き出す。一応、荷物は藪に隠して。
キョロキョロ探してみるけれど、見渡す限りでは人の姿は見当たらない。
「変だな? お腹が鳴った音がしたんだけど……」
思わず呟くと、か細い声がすぐ近くから聞こえた。
「す、すみません。ここです、ここにいます」
「あ、やっぱりいたんですね」
ホッとして声の方角を見たけど、やっぱり人の姿はない。あれれ? と首をひねっていると、ガサリと藪が動いた……んでなくて。
低木だと思っていた緑色の固まりは、巨大な……喋る鳥でしたよ。
「お腹が空きすぎて……もうダメです。すみませんが、食べ物くださいぃぃ……」
「……はあ」
突っ伏してる巨大な鳥って、コスプレ? 中の人が困ってるんでしょうか。