異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



(さてと、サンドイッチを食べようかな)


展望台のベンチに腰を下ろして、バッグからラップに包んだサンドイッチを取り出した時。


ぎゅるるる~……


盛大にお腹が鳴る音が夜空に響いたけれど。ハテ、と首をかしげた。


ん、あれれ? あたしのお腹は鳴ってないぞ。


お腹が空きすぎて幻聴でも聞こえ……るわけないか。


気のせいだとラップをぺりぺりと剥がした瞬間、再びお腹が鳴るような音が。


(やっぱり聞こえた。誰かいるの?)


フリーダムに生きる方が神社で寝泊まりしてるのかな? お腹が空いて困ってるなら、分けてあげよう。人間、困った時はお互い様だもんね。


あたしはペットボトルとサンドイッチを手に、音が聞こえた方へ歩き出す。一応、荷物は藪に隠して。


キョロキョロ探してみるけれど、見渡す限りでは人の姿は見当たらない。


「変だな? お腹が鳴った音がしたんだけど……」


思わず呟くと、か細い声がすぐ近くから聞こえた。


「す、すみません。ここです、ここにいます」

「あ、やっぱりいたんですね」


ホッとして声の方角を見たけど、やっぱり人の姿はない。あれれ? と首をひねっていると、ガサリと藪が動いた……んでなくて。


低木だと思っていた緑色の固まりは、巨大な……喋る鳥でしたよ。


「お腹が空きすぎて……もうダメです。すみませんが、食べ物くださいぃぃ……」

「……はあ」


突っ伏してる巨大な鳥って、コスプレ? 中の人が困ってるんでしょうか。


< 11 / 877 >

この作品をシェア

pagetop