異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
夢中になってるうちに、だいぶ日が傾いてきた。このまま運ぶのは大変だから、運搬係のレヤーの背に載せる。
レヤーも興味津々な様子で、辺りの様子を色々と観察してる。
「ほら、和さん。トカゲが居ますよ。一見居なさそうに見えて、やっぱり生き物っているものですねえ」
片方の翼で膝を抱えてもう片翼でトカゲをつつく巨大な鳥ってのも、相当シュールな絵面だと思うんだけどね。
「ほら、レヤー。遊んでないでもっと枝を集めて。えっと……一晩中焚くなら、これの倍はいるのかな?」
「そうですねえ。煮炊きのことを考えれば、もうちょい余裕があった方がいいですよ」
「そっかぁ……って言うか。あんたのガスコンロは?」
「まだ予備のボンベはありますけど、非常用に取っておきたいんで」
のべつまくなしに道具を使ってると思ってたけど、レヤーも案外堅実派らしい。
「そういえば、和さんは火の点け方は知ってるんですか?」
「うっ……それ、言わないで」
バルドには任せてみたいに返事したけど、実際自信はない。火打石や木の枝と板を使った発火なら、マンガとかで見たことはあるけど。
いくら貧乏でも、火はガスコンロで賄えたもんね。