異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「和さん、ご存知だったんですか?」

「まあ……ね」


あの夜のことを思うと胸が痛くなるけど、頭を振って思い出さないようにと努めた。


「虫ならすごい偶然ですねえ。これだけ色と点滅の間隔が同じだとは」

「……そうだね」


これで、この話題は終了とあたしは打ち切ろうとした。なのに、ヒスイがそうもいかないようで。


《愚か者ども。あれは虫などではないわ》


そうのたまうた彼女は、フワリと浮いてレヤーの背中にぽふんと乗る。


《ほれ、鳥。あちらまでわらわを運べ》

「ちょ、翡翠さん~相変わらず鳥使いが荒い……でなく。私はレヤーって名前があるって言ったじゃないですかあ」

《鳥は鳥以外の何でもなかろう。いいからさっさとわらわを運べ》


……見事な主従関係ですこと。と半ば呆れながら、点滅が続く光に近づいてみる。大きさとしては、数センチってところ。昼間だとたぶん気付かない。


で、近づいてわかったことだけど。その光はなにか文字のように見える、ってこと。


一定の間隔で入れ替わる文字らしき光に書かれた内容は……。


「コ・コ・ニ・フ・ミ・ヲ・ウ・メ・ル……ここにふみを埋める?」


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