異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「ちょ……なにそれ! 身分をかさに着て命令するなんて、おーぼーじゃない!」

「オレの身分を納得した上で、自ら側仕えに志願したんだろう。もうイヤになったとでも?」

「ぐっ……」


それを言われては身も蓋もない。確かに、あたしから連れていってと頼んだ。その点であたしの立場はすごく弱い。バルドが呆れて放り出されても、文句は言えないんだ。


「わ……わかった。身につければいい……んでしょ」


本当に、不本意だけど。不承不承その腕輪を身につけた。けど、何だか大きくてぶかぶかだなぁ……って左の手首にはめた瞬間、不思議なことが起きた。


その腕輪が淡く光ったかと思うと、あたしの手首にぴったりサイズまで縮んだんだから。こりゃ驚くしかないって。


「えっ……なに、これ? バルド、これって一体どんな腕輪なの?」

「いずれわかる」


それだけ答えた彼は、立ち上がってダチョウのもとへ行ってしまった。何だか話したくないような空気を感じたけど……気のせいかな?


せっかく焼いた魚も手を着けなかったし……。


(あ、でも。ヒスイに頼まれて見せなきゃいけないものがあったっけ)


あたしはレヤーの荷袋から木箱を取り出すと、バルドの後を追っていった。


< 118 / 877 >

この作品をシェア

pagetop