異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「はぁ……やっと終わったよ……」
今日は3つの集落の調査を終わらせた。隣り合わせのご近所さんなら苦にならないけど、何せディアン帝国自体がだだっ広い。数十km離れた場所の調査を1日でって、無理があるでしょ。お陰で移動手段であるレヤーがへばってる。
「も……もう動けませぇん……や、休ませてくださいぃ」
両翼を広げてうつ伏せで大の字になったレヤーは、ぜえぜえと荒い呼吸をしてる。ま、300kmもの距離を速足で歩かされちゃね。
あたしはすっかり慣れた火をおこす作業で焚き火を作り、その傍らで今日の調査の内容をまとめる。ここの地区は割に人口が多い。町や村と呼べる規模ではないけど、100近い世帯があって、長老がまとめてて。自給自足に近い生活だけど、物々交換で流通品を売るひともいる。
自治としては近隣同士で協力して家や道を作ったり、集落で備蓄した食料を分けあったり、トラブルの解決役もいたり。
村の前段階ってところかな?
(バルドは教えてくれないけど……なんでこんな人口調査みたいなことをしてるんだろう?)
ため息を着きながらシャーペンで情報をまとめて、後でバルドに読ませるためにカバンにしまう。その後、夕食の準備をするために水を汲もうと立ち上がった。
「お水、汲んでくるね」