異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
一瞬、本当に落ちていくかと思うくらいの浮遊感だった。突き落とされたと勘違いして、目の前にあるものに必死にしがみつく。
「うわぁあ、落ちる!」
「く、首! ぐびじめないでぐだざい! ぐるじい……」
「へ、首?」
おそるおそる目を開くと、確かに首らしき細長いものにあたしの両腕ががっちりと巻きついてましたな。
人間だったら青白くなっていたであろう鳥だけど、羽毛で顔色が見えない……というか。
「……マジで鳥だったんだ」
首から手を放せば呼吸を再開した鳥が、ぷはあと大きな息をついて情けない声を出す。
「だから、言ったじゃないですか。着ぐるみじゃありませんって」
「ふうん……」
「うわ、何ですかその“そんなのどうでもいいよ~”みたいな反応の薄さは~。きゃっ、すごおぃ(はぁと)○○チョーカンドーしちゃったあ! くらい言ってくださいよぉ」
「……なにそのサブイボ立つ反応。あんた、頭の中がお花畑?」
「ちょ、なんでいきなりタメ口なんですか!」
「大人じゃないから」
「意味わかりませんよう」
シクシク泣き出した鳥は放っておき、思い切って下へ目を向けて。あまりの綺麗さに言葉を失った。