異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「はあ~気持ちいい。余は満足じゃ!」
妙な日本語を口走るのは許して下され。何せ、1ヶ月ぶりのお風呂なんですよ。
1ヶ月ぶりに髪を洗って、たっぷりのお湯で体を流せた時の幸せときたら。もう、涙が出そうでしたよ。
けど、調子づいたせいか、お湯の熱で打ち身が痛む。バルドにケガをさせられた場所だけど、自分が未熟ゆえのケガだから、彼を恨んだりしない。悔しかったら、実力を上げればいいだけの話だし。
(もっと頑張るぞ!うん)
握りこぶしを作り決意をしていると、ザバンとお湯が揺れた。はれ? 誰かが入ってきた? と振り向けば……。
そこにいらしたのは、大量の美女軍団!
しかも皆さん何も身につけず、惜しげもなく見事な体を見せつけてらっしゃいますよ。
少なくとも十人はいそうな美女軍団は、突然あたしを取り囲んだ。
『飲み物いかが?』
あ、これ何とか解る。黒髪の美女さんが、トレイに載せてきた杯をあたしに差し出す。
そうそう、お風呂に入ると喉が渇くんだよね。と杯を受け取り、『ありがとう』とぎこちない笑顔を浮かべる。
何だか至りつくせりだなあ……と思いつつ、一応警戒して杯に手首の腕輪を近づける。
バルドに教えてもらったけど、この腕輪は毒物に反応するらしい。ちょいとひっかけてみたけど、何にも反応がない。だから、安心して口にしてみた。