異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。





「おいしい~」


あたしは3杯目をおかわりするほど、その飲み物を気に入った。甘くてひんやり冷えてて、何だか体が熱くなる。はれ? 景色がぐるんぐるんまわる~。


『勇者さま、わたしにお子をお授けくださいませ……』


はれれ~? 何でか、赤い髪の美女さんの言うことが解るよ。それだけじゃない、他の美女さんのおっしゃる内容も日本語みたく容易く理解ができる。


『次は、わたしね。やっと子どもを持てるわ』

『あたいも占いで今日は孕みやすいって。今年こそ、強い男の子を……』


はれれ? 皆さんの絡みつくような熱い眼差しが、あたしにだけ注がれてる。子どもって? 女同士で何言っちゃってるんですか~?


ふわりん、ふわりん。何だか体の自由が効かない。その間に美女軍団にガシッと拘束されて……って、ちょ。何でですか!?


『占い師様の占術通りに現れた黒髪の勇者様。あなたの素晴らしい血を、わたくしたちにお分けください。そして、あなたのお子をお授けくださいませ』


話を聞いたあたしは、ぼんやりする頭でも体が冷えてく感覚を味わった。


え……マジですか!? マジでこのお姉様方、あたしを男と勘違いしてる?


しかも、勇者様って何? あたし、そんなものに転職した記憶はございませんが!?


『勇者様……』


うっとりとした表情で瞳を潤ませた美女が、あたしに顔を近づけてくる。ちょ、あたし、もしかしてもしかしなくても、貞操の危機ってやつですか!?

め、目を覚ましてください美女さん!どこをどう見たって、あたしは本物の男じゃないって。期待には応えられませぬ。


美女さんの顔があと数センチまで迫る。ぎゃああ!や~め~てー!!

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