異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
そこにあったのは、瞬く星が地上に降り積もったような幻想的な光景。人の営みがそのまま光の珠となって連なってる。
夜空に広がる星と地上の光とで、まるで宇宙にいるような錯覚をしそうになる。
鳥はたぶん飛行機と同じくらいの高さで飛んでるけど、落ちるとかの不安感はまったくない。むしろ、ずっとこうして飛んでいたいわくわくした気分にさせてくれた。
「この高さでは酸素が薄かったり、寒かったり大気の状態や風圧の影響がありますけど、私の術で保護されてますから息苦しくも寒くもないでしょう?」
鳥の言うとおりどころか、むしろさっきよりも快適なくらいだ。例えるなら冷暖房完備のリビングでゆったりしてるみたいな……。足元もふかふかの羽毛だし。
「あんたの言うこと、マジだったんだ。びっくりだしすごいよ」
「そうでしょう、そうでしょう。私をふつ~の鳥と一緒にしてもらっては困ります」
あたしが素直に賞賛すれば、鳥はエッヘンと得意げにクチバシを反らす。
「……って言うか。こんな鳥がいることが信じられない」
「信じられなくとも、真実ですよ。ところで、飛んだついでに東京バナナとひよこまんじゅうを買いに行きたいので、東京まで行ってもいいですか?」
「え……いいけど。あんた、その格好で買い物するの?」
当然のことを突っ込めば、鳥は頭を掻いてそうですねと答える。
「できればあなたにお願いしたいんですが……お金は払いますから」
「まあ、それくらい別にいいよ」
タダで東京見物できるんだから、それくらいお安いご用だと鳥の頼みを引き受けた。