異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「バルド、まだ1ヶ月かそこらじゃ信じてもらえないかもしれないけど。あたしは、何があったってあなたに着いてくって決めてる。たとえあなたが大悪党でも、ね。あたしは……あなたを信じてる。あなたは卑怯な嘘をついたりしないから」


あたしは彼の目をまっすぐに見つめると、剣を握っていない方の彼の手をそっと取る。自分の両手で挟むと、彼に向かいニコッと笑った。……不気味って言わないように。


「あなたがイヤだって言ったって、絶対にいるから」


そして、バルドの手を擦る。タコや傷がたくさんある、節くれだった大きな手。皮が厚く硬いのは、過酷な旅をして戦いに身を投じてきたから。


きっと、皇宮にいればこんなに節くれだった手にはならない。日焼けもろくにせず、白く綺麗な指だっただろうけど。


……あたしは、苦労を知るこんな手が好きだ。ぼんやりとそう感じた。


「ほら、手が冷たい。そんなに緊張しなくってもいい。せっかくお湯があるんだもん。暖まっていこうよ、ね?」


きっと、強引に誘ったって応じてはくれないだろうけど。あたしはバルドの腕を引っ張ってお湯に浸からせようとした。服を着たままだけど、いいよね? さすがに男性のお裸は……まだ見るのはご遠慮申し上げたいところですから。



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