異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
自分でも頑な過ぎると思うんだけれど、これがあたしという人間。16年生きてきて、今さら変えられないよ。
「だから、ごめんなさい。あたしはあなたに着いていけません」
ペコリ、とセリスに向かって頭を下げた。これから彼があたしに関わらないように、という意味を込めて。
「……最初がまずかったんですね、わたくしは」
「あたしのことを思っての嘘だってのはわかってます。だけど……」
これ以上想いを言葉にしてしまえば、個人的な感情をセリスにぶつけてしまう。どうしてあたしが嘘が大嫌いなのか……その原因となった出来事や、思いまでも。
あたしだって、人間生きていれば正直なだけじゃ済まない場面が多くあるってのは理解してる。嘘だって、優しい嘘や必要な嘘があるってことも。
だけど、そうじゃない嘘は、大嫌い。
――いつまでも一緒だと。大人になったらきっとという約束を破られたから。
(嘘つき)
何度、涙を流しただろう。約束してくれた人たちは、一人残らずあたしをひとりぼっちにした。永遠にかなわない約束なんて、要らない。
「……あたしは、あなたが信じられない。だから、着いていけません」
個人的な感情は抑えようとしたのに。それでも決定的なひと言を、セリスにぶつけてしまった。