異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。





「絶対、ドレスが泣いてる……」


1時間ほど後、燃えつきて真っ白な灰になったあたしがいました。


ドレスを着せられただけじゃなく、ドレッサーの前の椅子に座らされ、髪やら顔やらをいろいろと弄られて……何がどうなったらこうなるんだ? な変身を遂げてました。


ボサボサで傷みっぱなしの短い髪にはブラッシング後、香油か何かを塗りたくられ、スタイリングされて。日焼けた肌も何か塗り込まれまして。


下着からひんむかれて着せられたのは、ミントグリーンのカシュクールタイプのAラインドレス。襟が前合わせのデザインで、ドレ―プがすっごい綺麗なんだよね。ウエストには繊細な白銀のレースで作られたリボン。袖は短めのシフォン素材が重ねられてて、袖はふんわりと広がるタイプ。


靴は……何とか粘って踵がない革靴にしてもらいましたが、10センチヒールって何の拷問?


あちこちにアクセサリーをやたらつけられそうになったから、何とか髪飾りとシンプルなペンダントだけにしてもらいましたが。メイクは……攻防の末に、何とか口紅とかの簡易なもので終わらせましたよ。まさに命懸け。


で。


鏡に映ったあたしは、何だか自分じゃないみたいだ。こんな女の子らしい格好はしたくなかったのにな……。とがっくりきてました。

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