異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
鳥に人生相談するなんて奇妙なものだけど、レヤーはなんか人間くさいから全然変な感じがしない。やっぱり中の人がいると言われても違和感ないもんね。
「う~ん……根本的にって言われたって。あたしの家はあれだけだし」
「思い切って本格的な家出なんてどうですか? 異世界ならめったに追いかけられませんよ」
そりゃ、こことは違う世界なら、追いかける手段はないだろうけど。追っかけてきたら逆に怖いわ。
「う~ん……って、あれ?」
なにかチカチカと光が瞬いてる? と意識した途端に、胸元がじんわりと温かくなっているのに気付いた。はて? 温かい食べ物でも入れてたかしらん。今は夏だから、冷たい飲み物しか買ってないけど。
胸元の感触を確かめると、ペンダントしかない。胸がないって言うな。
「あれ……ペンダントが光ってる?」
革ひもで下げてるペンダントトップを服から取り出せば、仄かに光を放ってた。青白い光はまるでホタルみたいに瞬いてる。
「なに、これ? 蛍光みたいなもの?」
「いえ、違いますね。え~っと……なになに? “わ、ら、わ、に、ま、か、せ、ろ”ですって」
「は?」
レヤーが口走る意味不明な言葉に、ジト目になった自覚はあった。
「あ、何ですか! その完璧信じてない目は。何いってんだコイツ。って目が語ってますよ! ホントに石が言ってるんですってば~」