異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「芹菜!」
ガバッと起き上がったあたしは、急いで周りを見回す。そこは全然知らない部屋で、あたしはいつの間にかベッドの上にいた。
「芹菜……」
夢の中とはいえ久しぶりに見れた親友の顔は、とても苦しそうだった。一体何があったんだろう? ただの夢……意味がない夢であればいいけど。
《ずいぶんとのんびりしておったな、なごむ》
「ヒスイ……」
ベッドの傍らにある長椅子にヒスイが座っていて、肘置きに腕を置き頬杖をついてる。妖艶さも感じさせる美女だけど、今はそれどころじゃない。
「ヒスイ、あたしの友達の芹菜が夢に出てきた。助けて……って。これ……夢、だよね? 何にも意味がない夢でしょう」
あたしは肌が粟立ちそうになるのを我慢しながら、否定して欲しくてヒスイに問いかける。彼女はふむ、と言うと髪をいじりだした。
《無意味、ではあるまい。そなたは初めて巫女の力を顕現させた――つまり。この世界の理(ことわり)に干渉する力を得たのじゃ。夢見も現実に即したものを見るようになった》
スッ、と華麗に立ち上がったヒスイはあたしの元に飛んできて、すぐ近くにフワリと降り立つ。
《それゆえ、そなたが見た夢はきっと芹菜とやらの危機を現しておるのじゃろう。だが……》