異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
ショック、なんてものじゃなかった。
芹菜が……芹菜が。日本では一番大切なひとが、こちらの世界に来てる?
「な……なんで? なんで芹菜が。もしかして、あたしのせい? あたしの召喚に巻き込まれて……」
《それは、わからぬ。じゃが、忘れたか? そなたは東京とやらでれやーとともに召喚された。そなたの住むO市とどれだけ離れていたか》
ヒスイの指摘に、そういえばと思い直す。あたしが住む土地と東京じゃ、少なくとも300kmは離れてる。
それだけ距離の離れた場所で召喚の余波で巻き込まれたなら、少なくとも関東や中部地方北陸甲信越……とんでもない規模の召喚で、何千万人の人がこの世界に来ることになるもんね。
いくらあたしが芹菜と親友という絆があっても、巻き込まれ一緒に召喚って言うのは現実的とは言えない。
「なら……なんで? 芹菜がどうしてこの世界に??」
《それはわからぬ。じゃが、わらわには少なくとも良からぬ意思を感じた。セリナとやらを探すなら、手伝うぞ》
ヒスイのあまりよくない情報に、胸が嫌な予感でざわめく。ギュッと胸元で勾玉を握りしめて誓う。
きっと、芹菜も秋人おじさんも助けて一緒に日本に帰るって。
「うん……ヒスイ、お願い。あたしは芹菜も秋人おじさんも助けたいから」
《うむ、任せるのじゃ。しばしの退屈しのぎになるからのぅ》
にんまり笑うヒスイは性格が良いと言うか、何と言うか。ほぼ不老不死な天上人だから、とてつもない長い時間を生きていて、娯楽に飢えてるのかもだけど。
あたしらをおもちゃにはしないでね、頼むから。