異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。


《わらわは疲れた。すこし休むぞ》

「って、ちょっと!?」


ヒスイはあくびをしたかと思うと、体が光の粒になって勾玉に吸い込まれていった。


「おおおい!あたしは飛べないんですけどおぉっ!?」


高度何百mで、どうやって浮かんでろって言うのさ!?


案の定、ヒスイの力が切れた瞬間にベッドが落ち始めましたよ。


「んぎゃああああああっ!」


バカヒスイ!最後までちゃんと責任を持って下ろしなさいよね。と叫んだところで、ヒスイはたぶん熟睡してる。重力に逆らえず、まっ逆さまに落ちた……んだけど。


とくん、と左手首の腕輪が細かく震えた途端。暖かさを感じて目を開けば。


「あ……あれ?」


いつの間にかあたしの周りに緑色の膜のようなものが張られてて。落下のスピードもずいぶんゆっくりになってた。

そう、まるでシャボン玉みたいにふわりふわりと。


「ど、どうなってるの?」


光の膜に触れてみると、ふんわりとあたたかい。ずいぶんゆっくりと降りていけば、途中でレヤーが拾ってくれて助かった。彼の背中に着地すると、パチンと膜が破れて消えていった。


「よかった、和さん。無事でしたか?」

「あ、ありがとう……でも、なんで?」

「翡翠さんがずいぶん無茶して力を使ってましたからね。そろそろエネルギー切れになるかと。間に合ってよかったです」


前々から思ってたけど、やっぱりヒスイは継続して力を使えないらしい。すごい力があるけど持続性がないって……某ヒーローみたいだ。


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