異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
頭からつま先まで洗われまくり、今度着せられたのは薄いピンクのドレスです。ただの侍女が、なんでメイド服じゃなくてドレスを着なきゃいけないんだろう?
げんなりしながらバルドが待つ部屋までロゼッタさんとメイドさんに付き添われた。
「入れ」
メイドさんのノックと先触れに、ぶっきらぼうな返事が返ってきてすぐにメイドさんがドアを開いてくれる。頭を下げて入るのを見守られるなんて……何だか緊張しますけど。
バルドが滞在しているのは、三階の書斎みたいな部屋。とはいえ、何部屋も続きになっていて。広いマンション程度の面積はありそう。焦げ茶色の調度品と真っ赤な絨毯が、ミスマッチというかなんというか。
やたら広い机が窓際に置かれていて、バルドはそこに腰をかけて大量の紙を相手にしてた。なんだろう? 羽根ペンや、印章のようなものが傍らに置かれてる。