異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
富士山より高い場所から落ちて、どうしろと言うのさ!
「うわぁああ……落ちる!」
息が苦しい中でしばらく手足をバタバタさせていたら、ぽふんと柔らかい感触に包まれた。レヤーが受け止めてくれたらしい。ナイスキャッチ!
「あ、ありがとう……助かったあ」
怖くてレヤーの首に掴まりぜえはあと荒い息をしていたら、どうやらレヤーも必死だったらしい。ずいぶん呼吸が乱れてた。
「い……いえ。しかし、ここは一体どこなんでしょうかね? 少なくとも見たことがない地形です」
レヤーはゆっくりと高度を下げながら滑空してく。 それでも地上からハッキリと見えない程度に、かな?
たしかに、と回りを確認したあたしも頷くしかない。赤茶けた緑がない山脈なんて日本にはない。おまけに、細長い土地にはハッキリと緑と乾燥した土地が分かれていて、今まで見た中で見覚えのない陸地の形。
もしも地球だとしても、アジアの果てか中南米かアフリカ……中東あたりかもしれない。けど、猫の座った姿みたいな形の島や大陸なんてあったかしら?
「レヤーも知らないの? 中東とかアフリカじゃなくて?」
「いえ、地球にこんな土地はありませんよ。私は長年地球を見てきたから知ってますが……」
「マジですか……」
あたしにとっては頭を抱えるしかない事態だ。レヤーの異世界という言葉を信じてた訳じゃないけど、いきなり来るはめになるなんて。一体何の冗談……と思った瞬間。
ひゅん、と顔の横を何かが掠めていった。