異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
え、空の上にいるのに何かが落ちてきた? と疑問に思う間もなかった。
それが飛んできたと思われる方向から、再び何かが飛んできた。それも無数に。
「あいたっ!」
キンッと甲高い音で跳ねたものは、レヤーの翼の上にコロンと落ちたけど。
それは……矢じりつきの弓じゃないですか。しかも、先がめちゃくちゃ尖ったやつ。
「ちょ、ちょっとレヤー! 弓、弓が来てる! なんで!?」
「たぶん、現地の人間に見つかったんでしょう。結界を張ってるので貫通はしないと思いますが……」
レヤーにしがみつきながらチラッと後ろを見れば、やっぱりいた~! 黒い装束だか甲冑に身を包み、飛ぶ機械に乗ったやつらが。それも何十もいるよ。
「と、とにかく今は……逃げるが勝ち」
「同感です。 一気に飛びますからしっかり掴まっててください!」
レヤーは翼に力を込めて、猛スピードで黒づくめ軍団を遠ざけていったけど。
あたしたちの異世界生活1日目は、逃亡生活から始まったって。これからいったいどうなっちゃうのさ~!
「……見つけた。ミナセの巫女」
黒づくめのうちの一人がそう小さく笑ったことなど、その時のあたしに知るよしもなかった。