異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。





夜……燃え尽きて真っ白になったあたしがいました。


バルドの宮は大きな翡翠が使われているから、翡翠宮と呼ばれている。もちろん全部が全部そうじゃないけど、かなりの割合で翡翠が使われてる。日本じゃ貴重な宝玉なのにびっくり。

あたしが割り当てられた部屋は、三階建ての宮の最上階。翡翠宮が丘の上にあるから、眼下の眺めはいいけど。帝都に近いからか、乾燥した土地であんまり緑が見られない。


それでも近くに川が流れてたりするから、水事情についてはまだましだけど。


あたしの部屋は基本真っ白な大理石っていう、めちゃくちゃ豪華な壁と床。薄い茶色の木製家具はシンプルなデザインだけど、かなり上質なもの。赤い絨毯だって足首が埋まりそうなほどふっかふか。


おまけに専用の侍女を最低20人付けると言われたけど。何とか粘って5人まで減らしてもらいましたよ。


侍女長のフレイルさんだけでも、あっぷあっぷなのに。今まで自分のことは自分でやるのが当たり前だったから、誰かに世話をされるのは不得手なんですってば。


『和さま、これからお夕食でございますので、御召し替えを』


やっとの思いで部屋に戻ったのに、ドレスを用意した侍女が待ち構えてましたよ。


『な……なんで何かをするたびに着替えなきゃいけないの! 無駄もいいところでしょ……ぎゃあ!』

『問答無用! これが私どもと和様のお仕事ですから』


逃げようとした瞬間、両脇にいた侍女にガシッと両腕を掴まれ、ドレスルームに強制連行されましたよ……トホホ。


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