異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
『ミミは、歴史得意?』
『そりゃあね! 母さんが、絵本でプレゼントしてくれたから、すごく読み込んだよ』
えっへん、と反らしたミミの胸は……15とは思えない大きさで。ささやかな自分のと比べて、密かに落ち込んだ。
『えっと、まずは……建国ね。異界より神が降り立ち、火を使う技を伝えた。火を使って新しいものを作る技を覚えた人びとは、さらに工夫を重ねて暮らしをよくしていった。ここまではオッケー?』
『う、うん』
正直な話、帝国史に関してはどうでもよくて右から左に聞き流してた。ミミが得意げに話してくれるのけど、これはさすがにスルーできないよね……トホホ。
『アタシね、この建国の場面が好きなの! だってさ、空から一人の神が降り立つ場面がすっごく綺麗な絵で。貧しくて明日も知れない人たちを救ってくれるんだもの。しかもさ、その神様がすごくイケメンなんだ~』
『イケメン……はは』
どうやら、ミミの面食いは子どもの頃からのようです。
『で、その神様はさ。技だけでなく、不思議な習慣をいろいろと伝えてくれるんだよね』
『そうそう。わたしらが使ってるガスで使える窯も、その神様の技術が使われてるんだよ』
『へえ……オーブンみたいなものか』
具だくさんのお粥をすすりながら何気なく答えたけど。ミミが次に放った言葉に、スプーンを持つ手が止まった。
『そうそう、それでね。アタシが一番印象的だったのが、“カレーライス”って食べ物かな。すごく辛いものが好きな、神様の好物なんだって』