異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
隣に座ってるロゼッタさんに通訳してもらいながらだったから、どうしても理解が遅れたけど。カレーライスという単語だけは、直ぐ様にわかった。
カレーライス。
カレーって……。
どう考えても現代日本の食べ物だよね?
カレーじたいはいろんな国にあっても、ご飯にかけるのは日本だけだった……はず。
それに、とあたしは奇妙な符合を見つけた。
(辛いものが好きで、カレーライスが大好き……秋人おじさんみたいだ)
秋人おじさんはよくカレーを作ったり、カレーを食べに連れていってくれた。あたしはポークの甘口でないとダメだったけど、おじさんは一番辛いのに更にスパイスを追加するような強者だった。
(ずいぶん変わった神様だな……食べ物の好みが秋人おじさんと同じなんて)
『そ、それじゃあカレーライスって……どこかで食べられるの?』
『帝都でね。うちの息子の知り合いに、伝統のライスカレーを出す店があるよ。百年間一切味を変えてないけど、あまりの辛さに客が少ないみたいだけどね』
サラさんが肩を竦めながら、金持ちの道楽さねと呟いた。そりゃあ、貴族の支援を受けないと1日に数人の来客しかないお店なんて、すぐに潰れるよね。
だけど、どうしてかあたしは心に引っかかって。帝都に行く機会があれば訪ねようと密かに決めた。