異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



この1ヶ月の間にレヤーは半径100km程度の小さな町や集落に至るまで、ありとあらゆる土地を訪れたらしい。 かなりの強行軍だから、不眠不休でかなりげっそりやつれ……羽毛で隠れててわかんないけど。


そもそも喋る鳥がいておかしくないか? と思うかもしれないけど、どうやらレヤーのお仲間がいるらしい。獣人ってモフモフな方々も珍しくないとか。


で。レヤーはレヤーであちこち調査のために訪れがてら、いろんな情報を仕入れてきたり。独自のネットワークを作ってるみたい。やっぱり一羽だけだと限界があるとかで。


「秋人さんと芹菜さんに直接繋がる情報は残念ながらありませんが、ちょっと気になることを耳に入れました」


労る意味でもレヤーのお皿にパンのミルクがゆを盛れば、彼はすんすんと鼻をすすりながらスプーンで食べてた。


「へえ、気になることって?」

「味噌の存在です」

「味噌……って。お味噌汁に使う料理の味噌だよね?」

「そうです。なんでも、健康食としていろんなお料理に使われるみたいです。赤味噌かは確認できませんでしたけど……作られるようになったのは、ちょうど100年前だそうですよ」

「100年……」


100年、という奇妙な符合にあたしのなかのもやもやが大きくなる。帝国が建国されて100年というのと、一致してる。


……ただの偶然、なのかな?


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