異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「偶然かもしれませんが、その村ではご長寿の方も多かったですよ」
両翼でお皿を差し出してきたレヤーにお変わりをあげようとしたら、サラさんに食べさせすぎ! と怒られてレヤーが背後に影をしょい込んでた。
「そっか……ご長寿ってどれくらい?」
日本のご長寿な方も110歳から120歳くらいだったかな? と思い出しながら訊いてたら。
「最高齢で135歳だそうですよ。100歳はまだまだ若いそうです」
予想以上のご長寿に、飲んだジュースを吹き出しそうになった。
「……って、それマジ!?」
人間の寿命の限界は120だか130だかって聞いたことがあるけど。軽く突破しちゃうって、どんだけご壮健でいらっしゃるの!?
って言ってもあくまでも地球の人間の話だから、世界が違えば体も遺伝子も違ってくるかもね。
「そうですね~100歳を越えてる方が少なくとも20人はいらっしゃいますし。みなさん腰も足もピンシャンしてて、耳も目もしっかりしてましたよ。ですから、いろんなお話を聞けました。その中で……ライムさんとおっしゃる方が。変わった旅人を泊めたことがあると話してました」
「変わった旅人?」
「ええ。なんでも、見慣れない服装に全く通じない言語を話してたそうです。話を聞くに、チェックのシャツとジーパンに近いと思いましたが」
「……!」
はっ、とあたしは思い出す。秋人おじさんが学校に行くと手を振って別れた時の格好だ。
あのあと、ぷっつりと行方がわからなくなったんだ。