異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



それでも、ヒスイはふよふよと浮かびながら後ろに着いてくる。今は実体化していないから、見えない人の方が大半だろうしあまり気にしない。


とはいえ……


「ちょっと……何で朝風呂にまで着いてくるのよ!」


ミス・フレイルや他の侍女の追撃を逃れて、やっとお風呂でゆっくりできると思ったのに。ヒスイは浴室でもふよふよ飛んでる。


《いいじゃろ。仮にもおなご同士じゃ。恥ずかしがる必要なかろうて》

「そういう問題じゃない!」


ムカついたからお湯をすくってヒスイにかけてみたけど、案の定彼女の身体を素通りして床に落ちていった。


《ちょっと気になることがあったのでな》


ふわり、とヒスイはあたしの真ん前に降り立つと、自分の首元に指を当ててる。


「は、なにしてんの?」

《鈍いのう……ここ、ここじゃ!》


ヒスイはやたらと自分の肩甲骨辺りを指でさすけど。ぜんぜん意味わかんないんですが。


「あのさ……言葉にしてくんなきゃ、あたしはわかんないって」

《ハッキリ言の葉にしてもよいのか? そなたがだめーじを受けると配慮してやってるというに》


理解しなくて残念な子、と言わんばかりの半目で見られてなんかムカつくんだけど。


「いいよ、ちゃっちゃと言っちゃって」

《そなたが昨夜、バルドとやらと同禽したことは知っておる》


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