異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「やれやれ、つむじ風みたいね」


ロゼッタさんが呆れた顔をしながら、あたしの手にある本を見て顔を綻ばす。


「その絵本、簡単な単語で書かれてるから、なごむにも読みやすいと思う。私もよく弟に読んであげた」

「へえ……」


パラパラと簡単に捲ってみると、色鮮やかなイラストとともに数行の文章が配されてる。なるほど、確かにあたしに読みやすい……と眺めてたら。


ハッ、とする場面に出会った。


満天の星の中で……幼い子どもを肩車する男性。これって……?


もぞもぞ、と胸に入れた小さな卵がいつもより大きく動いた。それを押さえながら、今日は何かが変わるような。そんな漠然とした予感にとらわれる。


「なごむ、今日の予定は乗馬もあった?」

「あ、うん。たしか……」


ロゼッタさんの問いかけに答えながら、なんだか不思議だなあと思う。帝国は優れた機械文明や科学文明があるのに、それに頼りっぱなしじゃない。むしろ現代日本より優れた技術もあるのに、活用してるとは言い難いんだよね。


電話だってスマホに似たものを作れるだろうに、わざわざ有線で決まった場所にしか設置しないし。書類だってアナログな紙だ。なんで電子化しないんだろう?


乗り物に至っては馬だの鳥だの。非効率にもほどがある。セリスの言ってたエークは、むしろお金持ちのステータスシンボル程度の扱い。


なんか、こんなのでホントに科学立国なの? って思っちゃう。


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