異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
(な、なによ。もってまわるような言い方。もっとわかりやすく教えてくれたっていいじゃん)
バルドはいつもいつも勿体ぶってるけど、みんながみんな察しが良いって訳じゃないんだよ! って言いたくなる。
だけど、バルドは仕事よりもあたしの知りたいって気持ちを優先してくれたのかな?
(セリスが言ってた、あたしが命を落とす可能性のことも……わかればいいけど)
湯殿で再会した時のセリスの言葉は、気にしないと言ったら嘘になる。彼が語った全てが偽りだったら、二度と会いたくない位だけど。きっと、セリスがあたしを止めようとしたことに意味はある。
帝国があたしに望む巫女の役割と、バルドが日本人の血を引くという謎。ハルトが秋人おじさんにそっくりな顔だという事実。以前にも日本人がこの世界に現れているという、ヒスイの情報。
まだ、すべてを結びつけるには情報が足りない。
これから向かうミッツ村にその手掛かりがあれば、いい。
バルドはあたしが知ることは無駄じゃないと言ってた。話を聞いて何を思うのか想像もつかないけど、できたら2人が生きているという手掛かりであるといい。そう願った。