異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
ミッツ村は谷間にある川沿いの小さな村だった。
人口は300人程度で、不便な土地だからかお年寄りが圧倒的に多い。移動には川を使った水路か、川沿いに整備された道を使うのが一般的だけど。仕事がないせいで、若い人は村を出ていきどんどん高齢化が進んでるとか。
赤茶けた山の間に挟まれた村は、ぽつりぽつりと民家が点在してる。あまり活気はあるとは言い難くて、ホントにご長寿の村なのかと首をかしげたくなった。
「それで、昨日話してたおばあちゃんはどこさ? ボクも話を聞きたいんだけど」
今はバルドの従僕のふりをしているから、少年っぽい振る舞いをするように気をつけてる。髪の毛はボブ程度の長さだし、完全に男にしか見えない格好をしてた。
「そうですね~たしかあの三軒隣にある、ライムおばあちゃんですよ。生まれた時からずっとこの村に住んでる135歳の最高齢のおばあちゃんです」
「ライムおばあちゃん……ね」
謎の男性を泊めたことがあるって話は、嘘だとは思えないほどの要素が重なってた。あたしが知る限りで言えば、秋人おじさんとの共通点がありすぎる。
断言はできないけど、秋人おじさんがこの世界に現れてそう経たないうちに、この村にたどり着いたんじゃないかって思ってた。